愛こそすべて

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 最後にリボンを解かれてしまうと、何の飾りも覆いもない、まっさらな素のままの自分の姿になってしまう。
「そんなに…見んといてや」
「何で?」
「…恥ずかしいやん…」
 まだ数えるほどではあるけれど。何度か繰り返してきたことなのに、全然、慣れなくて。
 毎回のように口をついて出てしまう、照れ隠しの言葉。
 平次は、もう聞き飽きたで?と茶化してくる。
 わずかな明かりでも、こっちは死にそうなほど恥ずかしいのに、向こうはどうやら不満らしいし。

「んっ…あ…っ」
 彼の視線を遮るように組んでいた腕を優しく押しのけられ、それとは相反して強い力で触れられる。その手の平が熱い。
 まるで、彼の内に秘められた激しさを物語っているかのように。
「ああ…っ!いやぁ…ん、へいじぃ…っ」
 ダメや、とかイヤや、とか。そんなことばっかり言ってたら。
 何が嫌なんや、と仏頂面で訊いてきた。
 顔は怒っているのに、声は震えそうなほど甘くて。
「せやって、アタシ…蘭ちゃんみたいに胸大きないし…」
 平次は、一瞬ピタリと動きを止めて怪訝そうに眉を顰める。
「…何で今あの姉ちゃんのこと引き合いに出すねん。逆にオレが申し訳ないわ、工藤に」
「う…ごめんな…せやけどアタシ、いっつもコンプレックスに思うねん。蘭ちゃんみたいに可愛かったらええなァ、とか…あんなスタイル良かったら、平次がもっと喜んでくれるんちゃうかなァとか…」
 いつものウジウジ虫が顔を出して、和葉は瞳を潤ませる。
「アホか。そんなん言うたら、工藤に失礼やろ」
「へ…?」
「もしあの姉ちゃんの胸が残念なくらいぺったんこやったら…って想像してみぃ?工藤が姉ちゃん選ばんかった思うか?ちゃうやろ」
「…確かに、そうやね…」

 見てくれだけで惹かれ合った二人ではないのだ。そもそも、胸がどうとかいう以前の小さな子供の時から、すでに心は決まっていたのだろう。
 …自分たちがそうだったように。
 そう言われれば、ストンと納得できる。
 ただ、外見の良し悪しを抜いて考えたとしても、それ以上に内面の素敵な部分をいくつも知っているだけに、やはり自分には魅力が足りないのではないか、と思ってしまう。
 初めて出会った頃からそうだった。
 こんな娘がいるなんて。まるで天使や。
 自分が男だったら、絶対に惚れてる。
 それに対して、アタシは…?
 可愛げがなくて、いっつも自信がなくて、平次の足を引っ張ってばかりで、情けなくて。
 でも、好きな気持ちはだれにも負けへん、て。
 空回り、かも。
 こんな自分でいいのかなぁ…?
 彼に愛される存在に、なってもいい…?

 まだどこか沈んだ様子なのに感付いたのか、平次はまっすぐに和葉を見て。
「…和葉。顔、上げろや」
「ん…」
 ためらいがちに上を向いた、その唇にキスをする。
「どんなに胸が大きゅうてもなァ…抜群にプロポーションがよかろうと、オレにはお前しかアカンねん」
「平次…」
「お前の代わりなん、おらん。オレは小っこい胸の貧相な体したお前にしか勃たへんわ」
「ひっ…貧相ちゃうもんっ!人並みにはあるわ…って、あ…んっ!」
 再び平次の指が動き始めて、忘れかけていた高ぶりを呼び覚ます。
「お前だけや、和葉…オレにとってお前は、この世で一番最高の女じゃ」
「はっ…あっあっ、ひぁあ…ッ」
「ワケ分からんことで悩んどるヒマがあったら、もっとエエ声聞かせんかい」
「んっ、んぅ…!」
 体のあちこちを、感じる部分を責め立てられながら、この上ないほどの殺し文句を呟かれて、和葉はもう何も考えられなくなった。

 可愛いコなんて、たくさんいるし。
 地味で目立たなくて埋もれてしまっても。
 たった一人。
 目の前にいるこの男だけが自分を見てくれて、しかも興奮してくれて。
 そう思ったら、体の芯から熱く痺れてきて、狂おしいほど疼いてたまらなくなる。
「…ッ平、次…もう…っ」
「何や、もう我慢できひんようなったんか?」
 ニヤニヤと笑いながら、それでも和葉を追い立てる力を緩めようとはしない。

 もう…そんな意地悪な顔しないでや…
 アタシかて、アンタが欲しいよ…


「平次、来て…」


 両手を伸ばしたら。
 それに応えるように彼の顔が、肩が、腕の中に吸い込まれてきて。
 二人の熱が重なり合って、溶けて、混じり合って…


 やがてきっと、ひとつになる。




「好きや…平次」




「オレもや」
と、囁くように聞こえたのは、まるで夢のようにおぼろげだった。



 END



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あとがき。

服部の日なので、前から温めていた平和エロを…(*^-^*)
本当はアニメで「オレの和葉」が聴けたら…vvと思ってましたが待ち切れず。
これもう、地下とか作った方がいいレベルかもしれない…(汗)
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