ユメ、ミタアトデ

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 背中に感じる心地好い圧力。サラサラと流れる細い髪が微かに触れる感触と、産毛を撫でる温かな吐息がくすぐったいのだが、妙に安心する。
 後ろから回された両腕は、熟睡しているにもかかわらず、がっちりと巻き付いて離そうとしない。
 これだけぴったりくっつかれると寝返りも打てないので、体勢としては少し苦しい。
 まぁ、今では大分慣れてはきたのだが。

 あれだけへとへとになっとったのに、えらい執着心やなぁ…

 散々鳴かせて、逃げる体を捕まえて、引きずり込んで…何度も、嫌や、やめて、だのと哀願していたクセに。今は逆に、どこにも行かさまいとするかのように、固く繋いで、縋り付いている。
 そんなに信用ないのだろうか。

 …そないに心配せんでも。
 お前はオレのもんなんやから。
 オレもお前のもんなんやで?…和葉。

 キュッ、と結んだ両手の甲を掌で包むと。
「ん…」と小さく身じろぎして、深い寝息を吐き出した。

「…平、次…」


 とろんとした声で呟かれ、湿った唇の先が背中に軽く当たる。
 さっきからずっと押し当てられて、むにゅむにゅと間でバウンドしている柔らかな弾力よりも、そのことの方が艶めかしく感じられて。

 アカン。…また、したなってもうた。

 さすがに、眠っている相手に対してちょっかいを出す趣味はない。
 しかし一度意識してしまうと頭から追い出すことは難しく、ムラムラした気分を抱えたまま寝付けずに、背中越しに伝わる鼓動を聞いている。

 …くそっ、気持ちよぉ寝おって…

 目ぇ覚めたら朝イチでしたるからなッ!



 空がぼんやりと白んでくる頃、眠り姫はまだ夢の中。



 END



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あとがき。

SSというより、ショートショートくらいの短さですね。ちょっとエロ…というか、表現がきわどかったか…な?
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