最愛の、その先

----------------------------------


 愛しい身体を組み敷いて、その綺麗な顔を歪ませ、存分に鳴かせて。
 それなのに…


 これ以上、何を望むというのだろう。




 隣にいられればいいと思っていた。
 最愛の人がすぐそばで、笑って。
 ただそれだけを思い描いて。
 それだけを願っていた、小さな体で苦悩していた時の自分。
 その想いが叶って、全てを手に入れた今になっても。

 飽きることなく欲する、この激情は。一体、どこからくるのだろう。



 彼女の隅々まで探り尽くして、もはや知らぬ所などない。
 もう、この先に続く行為など、存在しないというのに。
 もっと、もっと、強く。深く。
 奥底から叫び声を上げる自分は、彼女をどうしたいのだろうか。
 分からない。
 とにかく、繋がっていたい。縫い止めておきたい。
 この世のどことも知らぬ果てへ。二人きりで、二人だけで、いられたら…

 人が人を殺す理屈には納得できなくとも、人が狂気に引きずり落とされる感覚は、理解できなくもない。
 きっと、こうした所から始まるんだ。
 人間の持つ闇に触れる度、何を馬鹿なことを、と撥ね付けてきた。
 けれど・・・・・


 唯一、彼女の存在だけが、自らの中にも潜む闇を、湧き上がらせる鍵となり得る。
 鎖に拘束され、閉じ込めておいたはずの、黒く忌々しい獣が、自分の中にもいるのだ、と。
 彼女を愛したおかげで、確信してしまった。

 …欲しい。
 欲しくてたまらないのだ。
 求めて止まない、愛して止まない、彼女ただ一人だけを・・・・・





「…はぁっ、はぁ…ごめん、蘭…ごめんな?…ごめん…っ」

 口先だけの謝罪を繰り返しながら、言葉とは裏腹の容赦のない強引さで、今夜もまた彼女の体を深紅に染め上げる。
 自分の中は穢れているのに、それを受け入れ、色付く彼女は。
 いつまでも美しいまま――――
 どれだけ、この愚かな欲にまみれた想いを注ぎ込めば、オレと同じ色になってくれる…?
 答えは出ない。
 今は、ただ。


 狂おしいほどの快楽と柔らかな愛情に溺れ、乾いた心を彼女で潤し、満たしていくだけ・・・・・



 END



--------------------

あとがき。

割と最初の頃に書いたやつ…です。何だこの黒新一(汗)置き場所に困ってここに投下(−_−;)
なんとなくポエームだし…きっと蘭の可愛さに精神崩壊(病んでるな、自分)
BACK▼