だけど、見上げる空は その瞳と同じ色

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 その瞳に映るのは、きっとわたしには見えない透き通った景色。
 その背中が目指すのは、きっとわたしには手の届かない遥かな世界。

 遠く、自由に駆け回るその足を、永遠に止めてしまえるのなら。
 あなたがわたしの元から飛んで行ってしまわないようにできる?


 …なんて。
 頭の片隅で抱くわたしの小さな暗闇など、あなたは知りもしないで。
 今日もまた、風のように目の前から消えて行ってしまう。

「新一!!」
 行かないで。その一言が、危うく喉まで出かかって。
「…気を付けて」
 そう言って、送り出すことしかできないわたしの歪んだ顔を。見つめる彼の目は、不思議そうに揺れているのに。
「ああ、行ってくるな」
 あっさりと背を向けられたことに、チクリと胸が痛む。

「・・・・・ちゃんと、帰ってきなさいよ・・・・・」

 小さく呟いて、聞こえるはずもないと伏せた睫毛に、柔らかい口調が降ってきた。


「バーロ、あたりめーだろ!」


 一瞬だけ向けられた横顔に。
 いつもの、自信と活力に満ち溢れた表情を感じ取って。

 軽やかな足取りで駆けていく後ろ姿が、少し憎たらしい。
 そんな、彼らしい様子に笑顔を返して、見送ってしまう自分自身も。


 きっと、誰も止められない。
 例え足を失っても。




 誰にも奪えない、眩しい翼があるのだから。



 END



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あとがき。

タイトルはけっこう気に入っているんです(^_^;)
ずいぶん初期の頃にできた話だったような…(サイト開設当初かなぁ)
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